糖尿病の治療費はいくらかかる?入院費用やインスリン治療費
糖尿病になってしまうと、一生治療、一生通院ということになる場合が珍しくありません。
もし今糖尿病になってしまったらいくらかかるのかをまとめてみました。
目次
糖尿病の治療費はいくらかかるのか?
糖尿病の治療費は試算することが必要です。
なぜなら、合併症の有無、血糖コントロールをどこまで行うか、薬はどんなものを使うかなどによって大きく違ってくるからです。
一番大きいのは、合併症の治療費です。これらについてまとめてみます。
- 通院費:月3,000円~5,000円程度
一番基本的な医療費です。
これは、運動治療と食事療法のみの場合の金額です。3割負担の試算です。
運動治療、食事治療のみでも「特定疾病療養管理費」がかかりますので、この値段になります。
これは服薬を含みません。
- 投薬にかかる費用:月3,000円~月10,000円程度
薬の種類によりますが、初期の経口薬のみの値段です。
入院費
入院費用は、何か起こった時の治療入院だけではなく、糖尿病に特有の「教育入院」というものがあります。
- 教育入院:1週間70,000円~100,000円、2週間100,000円~150,000円
糖尿病を治療するには、特有の食事療法や運動治療などを身に付けなければなりません。
これらの両方を身に着けるために行うのが教育入院です。
また、教育入院は生活習慣の習得だけを目標とするのではなく、各種合併症が起きていないかどうかを調べる検査入院でもあります。
糖尿病でまず損傷される血管は末梢で、しかもじわじわと進行するため、検査は注意に注意を重ねなければなりません。
初期糖尿病と判断される状態で1週間、完全に糖尿病と診断されるためさまざまな検査を重ねるとなると2週間の入院が必要です。
- 治療入院:約270,000円(約1か月の入院、もちろん症状により異なる)
治療入院とは、糖尿病が進行した際に何らかの合併症に対する処置等を必要として入院するものです。
合併症により費用は異なりますが、これよりも安くなるということはほぼありません。
これは3割の自己負担額です。
- インスリン治療費:月10,000円以上
インスリンは自宅で注射するので、「在宅自己注射指導管理料」が加算されます。
薬剤費や注射器具(ディスポーザブル=使い捨てのものもあるので、費用は掛かり続けます)、きちんとインスリンが作用しているかどうかの検査も定期的に受ける必要があります。
注射器具は、痛みの少ないものは割高です。
どんどん後続品(バイオシミラー)の開発・販売も進んでいますので、この費用はこれからの将来下がってくる可能性があります。
合併症が起きた場合
合併症のある人とない人では、医療費に大きく差が出ます。
同じクリニックで治療することを前提とした試算です。
- 高血圧治療が必要とされたとき:+1月あたり1,500円程度
合併症で高血圧治療が必要とされると、降圧薬の処方が必要とされます。
もちろん、後発薬であるジェネリック医薬品を使えば、その分お値段は下がります。
ジェネリック医薬品はお値段は安いのですが、効果や効能に対して今使われているものとどのような違いが出てくるかわからないものもあります。
そのため、糖尿病や合併症の治療についてジェネリック医薬品を使いたがらない医師が多いのも事実です。
- 高脂血症治療が必要とされたとき:+1月あたり1,000円前後
こちらも使う薬によって多少前後します。
- 腎症の治療が必要とされたとき:+1月あたり5,000~6,000円
腎症が薬剤だけでなんとかなる場合の治療費です。
もちろん、このほかに検査代なども定期的にかかります。
- 腎症が進み、人工透析が必要になった場合:+1月あたり400,000円~500,000円
人工透析は、週に何度か通院して人工透析を受け続けなければなりません。
人工透析を中断するということは死ぬことを意味します。
正規の料金を払っていると、年額400万~600万円ほどかかってしまうので、各種医療保険には助成金制度があります。
治療費の負担を減らすには?
高額療養費制度を使う
医療費は、1ヶ月どのくらいまで払える、という限度額を所得に応じて決めることができます。
国民健康保険の加入者に限ります。
同じ医療機関に1か月通い続けて自己負担限度額を超えてしまったとき、超えた分の額が払い戻されるのが高額療養費制度です。
限度額は所得によって異なるため、個々の医療機関に相談することが必要です。
一度窓口で払ってから、数か月後に役所などで払い戻される場合や、最初から限度額だけの支払いでいい場合など、医療機関によっても変わってきますので必ず窓口に確認してください。
大きな病院では、専用の相談窓口がある場合もあります。
糖尿病の治療は長期にわたります。
医療費が家計を圧迫して病院に通わなくなると、悪化するしかなくなってしまうので、通い続けるための医療費プランを必ず確認しておきましょう。
人工透析の負担を減らすには
人工透析患者は身体障害1級に該当します。
そのため、手帳の交付が受けられれば身体障害者手帳が交付されるため、自己負担額がかなり軽減されます。
病院のソーシャルワーカーさんに聞くと、各種助成金制度や、生活レベルに応じた医療費の上限負担額などの手続き各種を教えてもらうことができます。
大体病院では、治療が本格的に始まる前にソーシャルワーカーと医療費プランの計画を立てることが一般的になってきています。
治療しないとどうなるの?
糖尿病は、放っておいてよくなることはありません。
悪化の一途をたどるのみです。
治療しないと、まず末端障害が出てきます。
毛細血管が多い腎臓が損傷し、網膜や足の先などの細い血管から障害されていきます。
目が見えなくなってしまったり、足の小さな傷に気が付かなくて壊疽になり、切り落とさなければならなくなるかもしれません。
ちなみに、壊疽の部分を放っておくとその部分のばい菌が体中に回り、敗血症で死に至ります。
網膜の血管障害を放っておくと失明します。
腎症を放置しておくと腎不全となり、やはり死に至ります。
治療しないと死んでしまう病気なので、糖尿病は治療をやめてはいけません。
公開日:2017年04月03日 最終更新日: