急に中性脂肪が高くなるのはなぜ?5つの原因と対策
中性脂肪の数値が急に高くなって驚いたという人が多くいます。この原因は何なのでしょうか?
ここでは、中性脂肪が急に高くなってしまう原因と対策について、詳しく解説していきます。
目次
中性脂肪が急に高くなるのは?
血液検査の結果などでも、最も驚きやすいのが検査結果の大きな変動です。
特に中性脂肪の数値は急に高くなってしまうことがよくあり、中性脂肪の数値が倍以上になってしまったという人までいます。
半年や一年くらいで、中性脂肪の数値が倍以上になれば誰でも驚きますよね。
しかし、そうなってしまった原因は必ずあります。
まずは考えられる原因を紹介するので、自分に当てはまることがないかを確認してみましょう。
中性脂肪の数値が急に高くなる原因には、次のようなことがあります。
- 飲食後に検査を受けてしまった
- 検査前(前日)に飲酒をした
- 検査前(前日)に大食いをした
- 過度のストレスを感じた
- 知らない間に病気になっていた
最後の「病気になっていた」については、自分では分からないと思います。
しかし、それ以外の項目については、思い当たることがある人もいるのではないでしょうか?
ここからは、それぞれの原因と対策について、さらに詳しく解説していきます。
もしも思い当たることがあれば、その項目の解説を参考にしてみてください。
原因と有効な対策方法が分かれば、次の検査では中性脂肪の数値が元に戻るかも知れませんよ。
飲食後に検査を受けてしまった場合
飲食後に血液検査を受けてしまうと、中性脂肪の数値などが正確に分からないと言えます。
これが原因というケースはかなり多いと言えますよ。
食事で中性脂肪が上昇した?
一言で解説すれば、食事や飲み物のせいで中性脂肪が急に高くなったと言えます。
なぜならば、血液検査の項目には「食事の影響を受けやすい検査項目」があるからです。
食事の影響を受けやすい検査項目については、次のような項目があります。
食事で上昇する項目
- 中性脂肪(TG)
- 血糖値
- 胆汁酸
- インスリン
食事で低下する項目
- 遊離脂肪酸
- 亜鉛
このような項目が上昇したり、低下したりします。また、ここに記載のない数値も変化します。
検査項目によって異なりますので、これが全てではないことだけは忘れないでくださいね。
さて、主な項目だけでもこれだけの数値が食事に影響を受けてしまいます。
それだけ血液検査の際に食事を控えることは大切ということです。
もしも食後に検査を受けてしまった人がいるのであれば、次からは注意事項をよく読むようにしましょうね。
飲み物でも中性脂肪が高くなるの?
食事が影響することは、多くの人が理解しています。そのため、シッカリと絶食する人がほとんどです。
しかし、飲み物を飲んでしまって、中性脂肪が急に高くなってしまったという人もいます。
食事をしていなくても、飲み物を飲んだという人は、その飲み物が原因ということも考えられますよ。
一般的に血液検査の注意事項では「絶食すること」が基本です。
ただし、お茶や水だけは飲んでも良いということもあります。
この「お茶や水」に引っかかってしまった人がいると言えます。
検査の状況によっては「水分も禁止」というケースもありますが、水分補給を禁止することで健康を損ねるおそれもあるため、禁止していないこともよくあります。
そのため、軽い気持ちで水分補給を行う人がいます。
もちろん、水分が文字通りに「水」であれば、ほとんど影響はありません。
しかし、カロリーオフの飲料品などを飲んでしまうと、そこには糖分が含まれています。
これでは食事をしたのと大差ないと言えます。つまり、飲み物に糖分などが含まれていたという原因が考えられます。
よく思い出してみましょう。検査前に飲食を行いませんでしたか?
もしも検査前に飲食をしていた場合には、何を食べたのか、何を飲んだのかを思い出してみましょう。
もしかすると、中性脂肪が急に高くなった原因はそこにあるかも知れませんよ。
どうすれば良いの?対策は?
飲食後に検査を受けてしまった場合、有効な対策は一つです。一切飲食をしないで検査を受けてみることです。
その結果、中性脂肪の数値が前と同じであれば、明らかに飲食が原因と言えます。
しかし、それでも中性脂肪の数値が高いようであれば、原因は別のことと考えましょう。
一切の飲食をしないで検査を受ける場合、目安は「検査のおよそ10~14時間前から絶食すること」です。
このくらいの時間があれば、大抵の検査項目が正確に診断できます。
理由は、中性脂肪の数値の変化にあります。
食事などをすると、およそ30分程度で中性脂肪の数値が上昇を始めます。
その後、およそ5時間前後で最も高くなり、およそ10時間すると元の状態に戻ることが分かっています。
そのため、およそ10~14時間の絶食を設けることで、正確な数値が計測できると言えます。
いずれにしても中性脂肪が急に高くなった場合、検査前に何かを口にしたという人が多くいます。
検査前に何も食べたり、飲んだりしないことで防げることなので、よく注意しておきましょう。
検査前(前日)に飲酒をした場合
アルコールが好きな人は、検査の前日に飲酒する人もいますよね。
もちろん、絶食する時間を守っているから大丈夫と思いますよね。しかし、その飲酒が原因かも知れませんよ。
どうして飲酒で中性脂肪が高くなるの?
検査前の絶食する時間を守れば、基本的にはどんな食事をしても問題ないと思っているのではないでしょうか?そこが、少し違っていると言えます。
中性脂肪は「糖質の影響を大きく受ける」と言えます。
アルコールは糖質を多く含んでいますし、代謝される過程で肝臓が中性脂肪を合成してしまいます。
つまり、アルコールの摂取によって、中性脂肪が増えやすくなってしまうと言えます。
そのため絶食する時間を守っていても、アルコールの代謝によって中性脂肪が増えることは十分に考えられるのです。
また、過剰な飲酒になれば、それだけ合成される中性脂肪も増えてしまうので、中性脂肪の数値が正常に戻る前に検査を受けてしまっていることも考えられます。
それでは、絶食する時間を守っていても、中性脂肪の数値は高くなってしまいますよね。
さらに、アルコールの代謝には肝臓の機能が欠かせません。
普段から飲酒をしていると、それだけ肝臓には負担をかけています。
肝臓に負担をかけ続けていると、肝臓のアルコールに対する機能も低下してしまうため、通常よりもアルコールが代謝されるまでに時間がかかってしまうことも考えられます。
その結果、代謝に時間がかかり、検査のときには中性脂肪が残った状態になっていたということも考えられます。
いずれにしても、過剰な飲酒や継続的な飲酒が、中性脂肪の数値を急に上昇させていることが考えられます。
アルコールを飲むことが常態化している場合には、前日に飲んだアルコールの量や普段飲んでいるアルコールの量を思い出してみましょう。
そのアルコールの量は適度でなかったと思うのであれば、飲酒が原因ということが考えられます。
どんな対策が良いの?
アルコールを飲むだけで、飲まない人よりも多くの糖質を摂取しています。
その糖質は中性脂肪の数値として反映されますので、最も良いのはアルコールの摂取をやめることです。
しかし、全く飲まないのは無理という人もいます。特にお酒が好きな人はなおさらですよね。
そこで、適量のアルコールを摂取するようにしてみましょう。
厚生労働省のガイドラインに沿って、適度な飲酒について紹介していきますね。
厚生労働省ガイドライン アルコール量の計算
お酒の分量(ml)×アルコール度数(%)×比重(0.8)=純アルコール量(g)
この計算式で、飲んだ「純アルコール量」を導きます。
この純アルコール量が「10g」になるように飲むのが良いとされています。
厚生労働省が推奨する基準なので、人によっては少ないと感じるかも知れません。
それでも、このくらいの量が許容範囲となっていることを基本にして、飲みすぎないようにしましょう。
厚生労働省ガイドライン 目安量
お酒の種類による目安量を示しておきます。飲酒の際の参考にしてください。
※カッコ内はアルコール度数です。
- 発泡酒・ビール(5%):250ml
- 酎ハイ(7%):180ml
- ワイン(12%):100ml
- 日本酒(15%):80ml
- 焼酎(25%):50ml
- ウイスキー(40%):30ml
通常のコップ一杯は「約180ml」です。それを目安にして、どのくらいが適量なのかを考えて飲むと良いですよ。
もちろん、アルコールの分解能力については個人差がありますので、アルコールに強い人は少し多め、弱い人は少なめに飲むようにするのが良いでしょうね。
普段から適度の飲酒を心がけることで、中性脂肪の数値が高くなりすぎません。
検査の前に限らず、普段の飲酒量を考えると良いですよ。
※ガイドライン:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html
検査前に大食いをした
飲酒と同じで、大食いをしても中性脂肪が高くなりますよ。
前日に大食いをした場合、翌日でも中性脂肪の数値が高くなることがあります。
どうして大食いで中性脂肪が高くなるの?
食事をすると、中性脂肪の数値は上昇します。しかし時間が経てば、中性脂肪の数値は元に戻ります。
上記にありますが、中性脂肪の数値が元に戻るまでの時間は「およそ10時間」です。
検査前の絶食では、この時間も考えられています。
ただし、これは通常の食事をした場合の話です。大食いをしてしまうと、この時間内に中性脂肪が元に戻らない場合もあります。
そのため、検査の前に飲食をしていなくても、前日の食事の影響で中性脂肪の数値が急激に高くなったままということも考えられるのです。
さらに、中性脂肪の数値は食べる物にも影響を受けます。
野菜などのように中性脂肪をあまり高くしない食材であれば、中性脂肪の数値はキチンと元に戻ります。
しかし脂っこい料理であれば、中性脂肪の数値の上昇は通常よりも急激になりますし、大きく上昇するようになります。
すると、いつもよりも中性脂肪の数値が元に戻るまでの時間がかかることになります。
つまり、前日に大食いをしたり脂っこい料理を食べたりすると、絶食の時間を守っていても中性脂肪の数値が元に戻り切れずに、検査の結果に反映されてしまうケースがあるのです。
そのため、急激に中性脂肪が高くなったように見えますが、実際には検査の後に中性脂肪の数値が元に戻っているケースも多いのです。
どんな対策をすれば良いの?
対策方法は単純です。大食いをしないことです。
もちろん、検査の前日に限らず、普段から適度に食べるようにすることが良いでしょう。
なぜならば、毎日のように大食いをしていると、中性脂肪の高い時間が長くなってしまいます。
すると、中性脂肪の数値が元に戻る前に次の食事をしてしまいます。
これが繰り返されると、中性脂肪が高い状態が普通になり、中性脂肪の代謝が追いつかなくなってしまいます。
そうなれば、代謝されない中性脂肪がドンドンと蓄積していくことになり、中性脂肪が本当に高くなってしまいます。
そのため、中性脂肪がキチンと代謝されるための時間を作ることが大切です。
もっと言えば、食事と食事の間には「物を食べない時間」を作ることが良いと言えます。
間食を控えて、シッカリと食事で摂ったカロリーが消費される時間を設けることで、中性脂肪が一時的に高くなっていても、それを代謝することができるようになりますよ。
過度のストレスを感じた
ストレスによって中性脂肪の数値が高くなることは、研究の結果で明らかになっています。
そのため、検査前に過度のストレスを感じていれば、中性脂肪の数値が急に高くなってしまうことも考えられます。
ストレスで中性脂肪が高くなるのは?
ストレスによって中性脂肪が高くなるメカニズムは、一つは「ホルモンバランス」が影響していると言えます。
ストレスによってホルモンバランスが崩れると、中性脂肪が増える原因となることがあります。
例えばストレスがかかると、人の体内では「副腎皮質ホルモン」などが分泌されます。
これが体に分泌されると、血液の中では「遊離脂肪酸」も増えることになります。
中性脂肪によって作られた遊離脂肪酸ですが、肝臓に取り込まれた場合には再び中性脂肪となります。
つまり、中性脂肪の元が増えるため、中性脂肪の数値も高くなります。
また、ストレスがかかることで、体の筋肉が緊張状態になります。
これは体の防衛本能です。筋肉が緊張状態にあれば血流も悪くなりますし、それに比例して代謝効率も落ちてしまいます。
肩こりなどを考えると分かりやすいでしょう。血流が悪くなって体の疲れも溜まってしまいますよね。
疲労物質の排出も進まず、体の不調が出ることもありますよね。
この状態と同じような状態になり、体の代謝効率が落ちてしまいます。
それでは血液中の中性脂肪もエネルギーとして十分に消費されません。その結果、中性脂肪は蓄積していくのです。
このように、ストレスによって中性脂肪が高くなるのは明らかです。
検査の前日などに過度のストレスがかかるようなことがあれば、そのストレスが原因となっていることも考えらます。
どうすれば良いの?
仕事をする以上は、ストレスと無縁ということはほとんどないでしょう。
そのため、ストレスがかからないようにすることよりも、ストレスを解消することに努めましょう。
効果的な方法は個人差もありますが、中性脂肪を減らすために効果的なストレス解消法は「運動」です。
特に軽い運動をすることで、ストレスを解消しつつ、体の中性脂肪を減らしやすくすることができます。
もちろん、軽い運動と言っても難しく考える必要はありません。自分でしたいことをしても良いと言えます。
例えば、ゴルフやボウリングが趣味であれば、それをするだけでも軽い運動になりますよね。
大勢で楽しく過ごせば、それでもストレスの解消になります。これでも何もしないよりは、ずっと良いと言えます。
また、ストレス解消であれば他のことでも良いでしょう。
カラオケやゲームなどでも、ストレスを溜めるよりは効果的です。
あくまで体を動かすことが良いというだけで、体を動かすことがストレスになるようであれば、体を動かさないストレス解消法でも構わないと言えます。
ただし、長期的な視点で考えると、運動不足は中性脂肪を増やしてしまう原因の一つと言えます。
そのため、ストレス解消と運動不足の解消を兼ねて、軽い運動を行うようにすれば、先々でも中性脂肪が高くなって悩むことも少ないと言えます。
そのため、休日には体を動かす趣味に精を出すことが一番ですよ。
病気になっていた
これは自分では分かりませんよね。医師の診断に委ねるしかないでしょう。
病気になると、中性脂肪が高くなる?
中性脂肪が高い状態が継続すると、一般的には「脂質異常症」という病気と診断されます。
脂質異常症を知らない人は「高脂血症」などの病名を聞いたことがあると思います。
実は、この高脂血症などの病名が新しく、そしてより正確になって、現在では「脂質異常症」という病名になっています。
脂質異常症は中性脂肪の数値などが常に高い状態の人の病気ですが、中性脂肪が急に高くなった場合には次の部位の病気も疑われます。
- 肝臓
- 膵臓
- 腎臓
急性膵炎の診断では、血液検査の結果で中性脂肪の数値が高くなっているかどうかが基準となることもありますよ。
急性膵炎では激痛がありますが、痛みの感じ方には個人差がありますよね。
また、病状によっても異なりますので、急性膵炎ということもあり得るのです。
他にも、腎臓や肝臓に何らかの疾患がある場合などにも中性脂肪が急に高くなります。
専門家の中には、血液検査で中性脂肪の数値が急に高くなった場合や、異常に高い数値になった場合には「腎臓病」を疑うという医師もいるようです。
これ以外にも、糖尿病になっているケースもよくあるため、上記した原因に思い当たることがなければ、病気になっているということも疑ってみましょう。
どうすれば良い?
上に紹介した様々な原因に思い当たることがなければ、やはり病気を疑うことが良いでしょう。
病気の診断については、専門医の診断が必要になりますので、必ず再検査を受けるようにしましょう。
再検査の日時などは医師に相談して決めることが適切でしょう。
また、原因に思い当たることがあっても、やはり再検査は受けた方が良いでしょう。
万が一、何らかの病気になっていれば、再検査を受けないことで手遅れになることも考えられます。
中性脂肪が急に高くなったときは、必ず再検査を
急に中性脂肪が高くなる原因を紹介しました。
もしも最後に紹介した病気だった場合には、再検査を受けないことで病気が進行することが考えられます。
手遅れになる前に治療を行うためには再検査が必要です。
急に中性脂肪が高くなってしまったときは、しばらくの間は「定期的に検査を受ける」ようにしてみましょう。
病気でなくても、病気を未然に防げるので安心できますよ。
また、中性脂肪が高くならないように、次のことに注意して生活することも大切です。
- 食事は腹八分
- 運動不足にならないようにする
- ストレス解消
- 飲酒や喫煙は控え目に
- 定期検診を心がけよう
これだけのことを守っていれば、中性脂肪の数値が急に高くなって驚くことも減ると思いますよ。
これを機会に普段の生活を見直すと良いですね。
公開日: